It's all

10月8日

アンジェロ 春山 勝美 神父
Fr.Angelo Haruyama Katsumi, OFM
haruyama@netvision.net.il

写真1:秋の市役所秋を感じた日でした。東向きの窓開けても、陽が差し込んできません。雲が遮っているのです。晴天続きの夏も終わりです。新市街の郵便局に郵便物を取り外出しました。新門を出たところの交差点には普段より多くのボーダーポリスが目を光らせていました。今日は幕屋祭の七日目なのです。市役所を通り抜けることにしました。植え込みには、ブーゲンビリアの類でしょうか、枝先の葉が茶色化し、花のようでした。(写真1&2:秋の市役所、枝先)

大通りに出るところで、「Japanese?(日本人?写真2:枝先)」と声をかけられました。彼は、どんぐりよりは細長い、青い木の実を上下に持ち、「This is Palestinian.(これはパレステイナのもの)」、間を 取って、「It’s all.(これがすべて)」と言いました。
(写真3:落ちた実)。私は車が途絶えていたので、横切りながら「I understood.(分かっていたよ)」と答えました。「Thank you.(ありがとう)」との彼の言葉がありました。

写真3:落ちた実ただ、これだけの会話でした。しかし、「It’s all」、これは強烈なインパクトでした。パレステイナは多くのものを失い、そして、奪われています。彼は旧市街から出たところで、ボーダーポリス(対アラブ警察)の尋問に遭い、IDカードの提示で新市街への通行を許されたのでしょう。自分の生まれ育った土地で、自由に生きられない。木の実でさえ、公に「パレステイナ産」と言えない悔しさ。道端で拾った木の実に祖国の現実を託した青年と通じ合った一瞬でした。