ムジゲの便り

ソウルで小さな平和の集い 

クレト 中村 道生 神父
cletusofm@hotmail.com
Frnaciscan Friary

 日本は今台風に見舞われていて大変かと思います。皆様のところではいかがですか。熱い8月15日が過ぎてソウルはすでに秋の気配です。

わたしは、その前夜の14日に、小さな平和の集いに参加しました。田中勝という若い写真芸術家と画家ベッツイミラー女史との合作の展示会とセミナーで、参加者4,50名位の小さな集いでしたが,熱い平和のメッセージをもらいました。田中氏は現在32歳で現代美術・映像作家として活躍中。 ベッツイミラー女史は56歳で、米国各地で展覧会を開催。

“韓・米・日『平和の新世紀―2001 ソウル』セミナ−”の挨拶の言葉そのまま引用しますと…

「新世紀を迎えて今、この地球上で人類は未だ戦争の準備をしている。これらの作品は、二人の共同制作による作品です。ベッツイミラーの父は1945年当時の、あの原爆製造のマンハッタンプロジェクトの研究に携わった物理学者であり、私の父親は広島の被爆者であります。
 戦争を創造してきた過去の歴史を転換し、平和を創造する生命の世紀の新しい歴史を残すために、命の世紀を花咲かせていきたいと強く願っています。また、戦争を創造する人たちより、それをも圧倒していく平和をもっともっと創造していく人生を貫いてまいります。」


お二人は、共同制作品を通して各地で『平和の新世紀』プロジェクトを展開されています。田中氏の中にはいつも逆転の発想があって、それを平和創造のエネルギーに変えているよう感じてすごく刺激を受けました。二人の出会いと共同作業が特にこのことを印象ずけました。 被害者と加害者をそれぞれ父に持ち、国籍の違い、言葉の違い、性差や、世代差を超え、さらに写真と絵画というジャンルを超えて、平和の新しいメッセージを伝えようとしているように思えました。

彼らのホームペイジは以下の通りです 。中学生の感想文はすごく良いなと思いました。 http://homepage2.nifty.com/art-peace/

ちなみに、田中氏は写真をとるとき高級カメラを使わずに『使い捨てカメラ』を使用しています。それは、「平和を創造すること」が、芸術家や専門家でなければ、あるいは政治家や学者でなければできないことではなく、子供であっても、お年よりであっても誰の手にも委ねられていることを伝えるためと聞きました。

21世紀の平和の創造は、国家レベルでなく市民レベルの国や民族、宗教などあらゆる壁を越えて、互いを尊敬し共に手を携えて実現されていくのだと思いました。教科書問題も国を超えた市民たちの連帯が大きな力を示したと思っています。