ムジゲの便り 1号

金大中大統領の評判(11月17日)

クレト 中村 道生 神父
cletusofm@hotmail.com
Frnaciscan Friary

昨日今日とソウルは雨模様です。 金大中大統領がノーベル平和賞を受賞されたのはもう1ヵ月も前になりますね。そのとき、私はまだ3ヶ月の帰国休暇中で日本にいましたので、韓国の兄弟たちとこの喜びを共に分かち合えなくて残念だと思ったものでした。このニュースが世界を駆け抜けたとき、韓国人のみならず、多く国の人々が喜び祝福したのではないでしょうか。特に在日韓国朝鮮の人々にとっては喜びがひとしおだったようです。大阪で号外を読む人々の姿をテレビで見ていてそう思いました。 
 10月の末、ソウルに戻ったとき、大きなビルや道路わきの壁1面に「祝 金大中大統領 ノーベル平和賞受賞 !!」という幟が大きく掲げてありました。ああ、やっぱりそうだったんだなーと納得しました。 

 ところが、11月6日、日本から来られる司教様方をお迎えするためにプサンに行ったんですが、そこには金大中大統領のノーベル平和賞受賞を称える幟はほとんどありませんでした。はじめはそのことに気づきもしていなかったのですが、司教様方の交流会(これは毎年日本と韓国で交互に開催され、今年は6回目)が終わった日、松浦司教様をおつれしてプサンを少し案内したときのことです。実は5月の末に私はプサンの信者の方37人をお連れして、大聖年のための巡礼で大阪、京都を訪問したのですが、その時の何人かの人たちとの再会の席でのことでした。司教様が金大中大統領のノーベル平和賞のお祝いを述べられたのですが、ある婦人が指を丸めながら行ったんです。「あれは金で買ったんですよ」と。私たち二人は思わず顔を見合わせました。もう一人の婦人は「金大統領は韓国の経済をだめにしてしまいました」と付け加えました。地域感情がこんなに隔たっているとは思いませんでした。巨人フアンと阪神フアンの比ではないようです。

 金大統領を援護するわけではないですが、彼の平和統一に関する思いとその実践は1970年以来30年間一貫したものです。詳しくは、朝日新聞社から出された、金大中アジア太平洋平和財団著「金大中平和統一論」をお勧めいたします。